VARが勝敗の分かれ目!苦戦したベトナム戦に勝利できた要因を分析

2019/1/24に日本vsベトナムのサッカーアジアカップ決勝トーナメントが開催されました。

サウジアラビア戦で勝利した日本代表はヨルダン戦でPKの末に勝ち上がってきたベトナムと対戦することになりました。当然ながら『負けられない戦い』が続きます。ベトナム戦はどのような試合運びとなったのでしょうか?

今回も試合内容の結果はもちろん、その他さまざまな視点から独自に分析します。

これまでのベトナムとの対戦成績と相手のFIFAランキング

日本vsベトナムの国際Aマッチ試合における対戦成績は3勝0敗0分と対戦データは少ないですが、全て完勝しております。最新FIFAランキングでは99位と日本よりは格下の相手となっていますが、最近のベトナムは着実に力をつけてきているので油断はできません。これまで日本は格下相手にわずか1点差と苦しい戦いが続いています。

『VAR』とはいったい何?

VARとはビデオ・アシスタント・レフェリー (Video Assistant Referee)のことでアジアカップでは決勝トーナメントから使用されています。VAR自体はこの前のロシアワールドカップより正式に導入されたルールなのです。

ただ、野球と違って選手や監督からの異議申し立てでVARによる検証は行われることがないのです。主審が判断の迷いを生じた時や本当に微妙な時にVARによる検証を行い改めて判断を下すということです。そしてVARの対象となるプレーは全部ではなく主にこの4種類にわかれるのです。

1.得点に関すること (ラインを割っていたか否か以外に、それまでの一連のプレーも対象)

2.PKであるか、そうではないか (ペナルティーエリア内のファウルなど)

3.レッドカードに相当する行為かどうか (2度目の警告を含めたイエローカード相当の行為は対象外)

4.間違った選手に対しての退場処分、警告処分であったかどうか (イエローカード行為の足をかけて転ばせる行為があったのはどちら側の選手なのか)

このシステムによりゴール関連の判定の精度は大きく向上し、以前よりは不平等な判定は少なくなりましたが、それとは別にほかのスポーツで導入されており、回数制限を設けた上でビデオ判定を主審に求める『チャレンジ』を欲する声もあります。

実際の試合結果を簡単に紹介

日本のフォーメーションは4-2-3-1とサウジアラビア戦と変わらず、トップ下にはサウジアラビア戦で累積警告により(イエローカードが1枚と1枚で合わせて2枚の状態)出場できない武藤の代わりに北川が起用されました。負傷の影響が残っている大迫はベンチスタートです。試合が始まり、序盤はベトナムのカウンターに苦しみます。相手に連続でCKを与えてしまい、日本は先制点献上の危機に直面しますが、守備陣が体を張ってセーブし危機を回避します。その後日本も攻勢に出てボールを前線におくりチャンスを作りますが、うまくかみ合いまません…。

しかし前半20分を過ぎたあたりで動きがありました。

敵陣に攻め入りCKを獲得したところで、キッカーは柴崎で精度の高いクロスを吉田が頭で合わせ一度はゴールしました。でもなぜかVAR判定の対象となり、結果的に吉田のハンドという判定となりゴールは取り消し…。当然ながらそのシーンを見ていた選手はおろかサポーターががっくりきたことでしょう。その動揺を隠せていないせいか、ベトナムはより攻勢に出てきます。そこはGK権田がファインセーブをしてベトナムの猛攻を防ぎました。日本も負けずと攻め続けるも、相手GKのファインセーブに阻まれゴールならず…。前半はお互い無得点で試合を折り返すことになります。

後半より日本のボール支配率が上回るものの、相手からのプレッシャーなどのよってなかなか前に進めずにいる状況が序盤にありました。でも右サイドからクロスを上げて敵陣に入りました。

その数分後に運命の瞬間が訪れます。

後半8分に堂安が敵のDFに足をかけられ転倒しましたが、一度はファウルの判定にはなりませんでした。2分後に先ほどのプレーに対してまたVAR判定となり、結果的に相手側のファウルを認め、ペナルティーエリア内だったことから日本にPKが与えられました。それを堂安が左足で右隅に鋭く蹴り込んでゴール!

貴重な先制点をモノにしました。

ベトナムは焦ったのか後半15分にドゥアンバンハウにイエローカードが出され、彼は勝ったとしても次の試合には出場できなくなりました。数分後にはベトナムは交代枠を使用し選手を入れ替え、より攻勢に出てきました。日本も決定的な点数がほしいので積極的に攻めますが、相手のDFやGKのセーブにあい追加得点とはなりませんでした。終盤はボール回しを行い相手の猛攻を防ぎ、日本は1-0でベトナムに勝利しました。

VARに翻弄された試合

VARが干渉して結果が決まる試合は国際Aマッチ以外にもたくさんありますが、今回の試合で前半に一度日本のゴールが取り消され、後半には日本の得点のチャンスを与えるPKという判定になったのです。VARによってある種の運命が変わるめったにない試合展開になったのです。

今回の試合はVARによって左右されましたが、サッカーは実力だけではなく時には運も必要なスポーツであることがわかりました。一度不利な判定を出されてもそれに屈せずに誰の目にもわかる形でのゴールネットに突き刺さる完全なゴールシーンが期待されます。